土日と作業できなくて、今日ティップ側のフェルールも出来上がりました。
ブランクが薄い色なのでこのままシルバーも合いますし、もちろんブラックにもできます。
フェルールの取り付けに入ります。
今はグリップを削るのにテンプレートの類は使いませんので同じミニフルウエルズでも少しずつ変わってきます。いちばん昔の733のだけはテンプレートが残っていましたので、久し振りに削ってみました。
これぐらい違います。実際握ってみると、ひとまわり小さい感触です。694にもピッタリです。
バッテッドというのは自転車の世界では良く聞かれる言葉で、段が付いていることを意味します。
昔、躍起になってフェルールの軽量化をやっていた時に、学生自分、自転車が好きで、バラしたり、組み立てたりしていた自転車のスポークがダブルバッテッドタイプだったことをヒントに考えついたのがこの強度分布型フェルールでした。
オスフェルールの先端からバットのブランク先端までが最も強度が必要で、メスフェルールのそれにあたる部分を厚く、それ以外は必要最低限薄く設計しています。
また、摺り合わせはこの1年半の試行錯誤で大きく変わりました。今回このロッドをご注文いただくとき、金属フェルールは抜けなくなるのが心配だがスマートなルックスは魅力、ということでしたので、なるべく柔らか目の摺り合わせにしています。フェルールのみを手で持って楽に抜き差しできる程です。
明日はティップ側を作ります。
まずは4角704ソリッドのテーパーで削ってみました。キャストした結果#3あるいは#2で丁度良かったです。柔らかいグラスロッドのイメージ。特にスローアクションがお好みの方には、申し分ありません。
それからきめの細かい竹肌が美しく、そのあたりも真竹の魅力なのだと思います。
今度はもう少し張りを出すテーパーにして、5角ホロー仕様にしてみます。
太いもので直径7センチもある真竹を手に入れました。節間が長く乾燥も十分でこのまま製作に入れます。ダメもとで行った竹材屋さんに無造作に置いてありました。表面も非常にキレイです。
ライトラインロッド、ショートロッドには柔軟で軽い真竹の方が合っているかもしれません。
まずはこれを使った調子を見るため、5角733、4角704、この二本から始めます。これが良ければ流行りのスピゴットフェルール仕様を考えています。
薄い色の焼き加減は難しいです。火が足りないとアクションに影響が出ますし、入れすぎればすぐ濃くなってしまいます。
こんな感じに仕上がりました。うまくいったと思います。
このロッドは昔、T社のS氏に納品したモデルで、76の#4 スリーピースでありながら軽くてパリッとしたアクションが特徴です。小刀でホローを削っていた時代ですので、今回も手作業になります。
4ピースとか5ピース等でスプライスジョイントにするメリットは何ですか?というご質問をいただきましたので、ご説明いたします。
マルチピースの竹竿は金属フェルールが重りになって、ショートロッドでも先重りになります。また重さでバットが柔らかくなり過ぎないように、バットを太めにします。結果トルクは増えて、距離も出ます。レインボー狙いなら、この独特の感じもそれはそれで良いのですが、ヤマメ用では繊細さに欠ける、軽快さに欠けることが、スプライスジョイントを取り入れる理由です。
特に3番ラインのショートロッドでは、スプライスジョイントの特徴が最も生かされると思います。
まず軽いこと。巻くテープの重さしかありませんので、非常に軽快です。例えて言うなら、重い布団から、羽根布団に換えたときのよう。
そして曲がること。スプライスジョイントはスプライスの方向によって曲がり方が違います。ロッドが曲がる方向に平行にスプライスすると、スプライス部分の方が曲がりやすくなります。反対に垂直にすると前後のブランクとほぼ同じ曲がりになります。トラウトマンロッドではロッドによって垂直、あるいは45度傾けて、スプライスを切っています。
テープを巻くのは面倒ではありますが、あるサイトで読んだのには、釣り人がスプライスのテープを巻いているのを見て格好いいと思った、とありました。慣れた手つきで悠々とテープを巻いていたら確かに達人っていう感じしますからね。それはさておき、
ザックに仕舞わないと辿り着けないような、或いは危険な高所、藪こぎの先にある清らかな流れで、3番ラインで繊細に釣りを楽しむ、まさにスプライスジョイントマルチピースロッドの世界です、皆さんに試して頂きたいと思います。
6角 764 スリーピース ずっと昔ある方から、アクションも気に入ったのだけれど、このロッドは運がいい。と言われたことがあります。リップサービスだったのかもしれませんが、運もスペックの内だと考えることもできましょうね。さて、製作開始しました。
6角は先月もスリーピースを作りました。733のスリーピースについてお問い合わせをちょくちょくいただきます。T社のと同じアクションで作れるか?ということですが、もちろんできます。文字以外でしたら同じにできます。ちなみに文字はS氏が直接書いています。
この冬733-3をまとめて3竿ぐらい作ろうと考えています。スリーピース ツーティップで感謝価格、どうでしょう?
昨日電話を掛けてきた友人が冗談まじりに、トラウトマンロッドは最近ハギレで竿作ってるの?、こんなことを言います。
ピンときたのはこの記事です。
ハギレをスプライスで繋いでみたらどうなるか、そのとき色の濃淡を作れば模様ができる、実際にやってみた備忘録はこちら。
結局、竹片の細かな曲がりを取っていたら、スプライスの端が剥離して、隙間ができました。何が悪かったのか、T&Tはこれを製品にしているので、研究すればなんとかなるかもしれません。でも所詮ハギレが材料ですから完成品にどれだけの値段をつければいいか。しかしテーマはテーパーやホロー、他いっぱいあります。それで止めました。
製作途中のこのロッドだけは一応組み上げて、観賞用にするつもりです。
というわけで、トラウトマンロッドはハギレで商売しない、が正しいですよ。皆さんもご安心ください。
朱と赤はだいぶ違いますね。
一体何を作っているんだ、とお尋ねの方がいらっしゃいますが、我々の歳になると段々と気になってくる行事とでもいいましょうか。それと赤から連想すればもうお分かりかと思います。そう、プレゼント用です。
ガイドの取り付けを先にすませてから、段巻きの塗装をしています。そうでないとブランクを持つところがなくなるのです。もう一回塗ったら塗装が終了、あとはキャップ&リングのみになります。やっと完成が見えてきました。
ヤングのパーフェクショナリストを5角にアレンジしました。
ガイド仮止めでのテストでは、セミパラボリックのクセはありますが、気持ち良くキャストできました。長すぎないのとホローの効果で非常に軽快です。#5ですが繊細さが感じられ、細いティペットを使うマッチザハッチの釣りに適しています。ロッドの重さを気にせず、釣りに集中できると思います。
セミパラボリックで思い出しましたが、ずっと昔、ブッシュマスター634が発売されてすぐ購入しました。師匠の設計ということでとにかく手に入れたのですが、うまくキャストができません。グラスロッドだから柔らかくて難しいのだろうと、あまり使いませんでした。しばらくして師匠に、あのロッド難しいですね、って言ったら、宮崎さんあれキャストできないとヤバいよ、と言われ、必死で練習した経験があります。セミパラボリックアクションだったのです。
力で押さえ込もうとすればするほどテイリングやらへんなウエーブが出て、キレイなループができません。力を抜くのはなかなか難しいものです。
ご覧のように節の部分を残しています。今製作中のプロトは76#5、レインボーを対象としていますので、強度を高めるためにこうしています。また、ホローの不連続はある程度、共振を防ぐことができるのではないかと考えています。