2012年10月21日日曜日

竹フェルールとは

竹フェルールの角に白い線が入っているのがお分かりですか?これ割れているんです。角の部分の糸が切れて接着が剥がれています。
4pcロッドのいちばんバット側の竹フェルールになりますが、今回はじめての破損ということになりました。竹フェルールはサイズによって違いますが、1ミリ前後の厚さで作っています。1ミリの厚さのパイプ状の竹は繊維方向の負荷にはかなりの強度がありますが、繊維同士を裂くような力にはたいへん弱く、糸を巻く等の補強が必須になります。

余談ですが、和竿の玉口がそれにあたります。軽く良くできたヘラ竿の玉口は段差を少なくするために竹を紙のように薄く削り、撚りのない絹糸で巻いてから漆で固めて補強しています。

それと同じような事をフライロッドでやっているわけですが、ヘラ竿に比べてフライロッドは短くて硬く、ジョイント部分の負荷は相応に大きいと思います。

竹竿らしく美感も必要ですので、あまりゴテゴテさせたくないということもありまして、ケブラーやPEライン等の新素材というよりは、現在の絹糸1回巻きを2回あるいは3回に重ねて強度と美しさの両立を実現させたいと思います。

メタルフェルールでポキリと折れ曲がったのを見たことがありますが、やはり強度的にはメタルフェルールが勝っているでしょう。しかし、丈夫なメタルフェルールはそれなりに重く、それをささえるバット、そしてつりあいのとれたティップ・・・と全体が強くなる傾向にあり、日本の溪魚を釣るにはちょっとオーバーパワーという感じがします。対して竹フェルールは軽く、うまく作れば十分実用に耐えますし、独特の軽快感は他に類を見ないでしょう。
またロッドにオーバーパワーが加わった時、壊れるとしたら竹フェルール部分になるように強度を調節すれば、いわば過重のヒューズのような役割を持たせて、ブランクシャフトの破損を防ぐこともできます。特にホロービルドのロッドには必要なことだと思います。このような利点を考えて、ピッタリと合わせるのが非常に困難な竹フェルールを敢えて採用しています。

取り扱い方として、竹フェルール内部はテーパーになっていて、必要以上に強く差し込むと、糸に負荷をかけることになりますし、固着してもいけませんので、ガタつきのない適度にソフトに差し込んでください。

なおツーピースロッドには現在のところ破損の知らせはありません。万一破損しても無料修理いたしますのですくにお知らせください。